三年三カ月ほどかかって、やっと『東北見聞録3』を書き上げることができた。ホッとした感じもないわけではないが、私の生涯で三冊目の書跡を残すことができたという思いで、いっぱいである。
前著『東北見聞録2』の出版に際しては、東北電力グループの皆さんにより、私の二冊日の本の出版を祝っていただいた。
その際、八島俊章・束北電力会長から、一冊目の出版の時は執筆に八年かかり、二冊目には四年かかっているので、次の本の出版は二年後になるよう、祈っています、と、激励のお言葉を頂戴した。
八年、四年、二年と続く数字は、等比二分の一の、美しい等比級数である。私はこのことを念頭において、当初は二年ということを、深く心に期した。執筆行程では、第三クオーターまではだいぶいい線をいっていたのであるが、心ならずも道草を食ってしまい、八島会長のご期待に沿えなかったことは、まことに心残りである。
このことを深く心においたうえで考えてみるに、八年、四年、そして今回の三年の執筆期間をグラフにしてみれば、緩やかなダウンカープを描く。このカーブをさらに延長すれば、さらに緩やかなカーブになるはずである。そう考えれば、次の本も、望みなきにあらず、という気持ちが湧いてきた。
執筆の後半において、いささかスピードが鈍った観は免れないが、縄文の心が脈々として受け継がれている東北の歴史、文化、風土を、さらに調べていきたいと思っている。
最後に、謝意を述べさせていただきたい。
三年余にわたって、東北経済産業局月報『東北21』の「みち」コーナーにおいて、随筆寄稿の機会を与えてくださり、本書の出版を勧めてくださった東北経済産業局、および経済産業調査会の方々。
また私の本を再び出版していただき、題名、章の編成、校正などでお世話になった、八朔社の片倉和夫社長、および中村孝子さん。さらに、資料集めを手伝っていただいた、東北大学図書館関係者の方々、仙台市市民図書館関係者の方々、および東北電力広報・地域交流部の方々、同社資料室の方々。
これらの方々に対して、深く感謝の意を表して、本書を結びたい。
平成十六年三月
黒田四郎 |