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七月十日は灰の町

仙台空襲と戦争中のこと
石澤友隆 著

七月十日は灰の町
「あの戦争は愚行ではあったが、架空の建設でもあった」と博物学者・荒俣宏さんは書いています。「なぜなら、戦争など常に愚かしく悲惨だという本質部分を別にすれば、間違いなく、アジアに手を伸ばした国家と国民による幻想の戦いでもあったからである」(『決戦下のユートピア』文藝春秋)。幻想とは、現実にないことをあるように感じ、とりとめのない想像をするという意味です。だとすれば、この本は決戦下という〈もうひとつの日常〉を、幻想を信じながら生きた時代の記録ということにもなります。
(はじめにより抜粋)
●定価1,650円(本体1,500円+税)
●A5判、272頁
●08年6月第1刷
●河北新報出版センター
在庫あり:1〜3営業日でお届けします
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目次

はじめに

昭和十六年十二月(1941年)
 寒い朝、戦争は始まった
 敵性外国人を拘束せよ
  七ヶ浜外国人別荘地とスパイ
  「仲見世」は例年通り開かれた

開戦前
 裁判官夫人の「仙台日記」から
  マッチ求めて長蛇の列
  出征兵と遺骨の出迎え
  そのころの仙台の町
 とんとん とんからりと隣組・考
    あふれんばかりの連帯感
    「仙台市隣組行進曲」の誕生
    皆さん、結構本音で語っていた
  日本はこういう国だった
  緊迫化する国際情勢

昭和十七年(1942年)
 東南アジアに日の丸の旗
  開戦の報聞いた子どもたち
  歓呼の声に送られて出征した
  二師団はジャワ、十三師団ビルマへ
  軍都と言われた仙台の実情
 行楽やめよ、貯蓄に励め
    「兵隊さん貯金してます頼みます」
    貯金についての優秀作文
  戦時中ただ一度の総選挙
 キリストと天皇 どちらが偉い?
 いつもの夏と同じように……
  早くも敵潜水艦が出没した
  防空監視哨 県内に四十カ所
  「お国のために散った息子」
  渋谷市長、任期満了で退任
 変容するとんとん隣組
  配給、配給、なんでも配給
 戦時下のエゴイストたち
  開戦一周年の歳末風景
  夕方、亜炭の煙がにおった町

昭和十八年(1943年)
 「ガダルカナルの勇士が見ているぞ」
  父は飢餓の島で戦病死した
  ガ島の英霊、無言の帰還
 青い目の人形を焼き払う
  お父さん、会いに参りました
 新聞は検閲でがんじがらめ
  汚れ役「おれは前科八犯だ」
 満州に「仙台村」があった
  背広と着物の長袖はご法度
 学業半ばでさあ出陣だ
 金属回収、政宗像も供出
    戦後、政宗の胸像が見つかった

昭和十九年(1944年)
 国難は陛下におすがりして
  「市立病院長の日記」から
  男性に代わって女性が職場へ
 動物園の猛獣やあわれ
  高級料亭は営業停止へ
 備えあれば防空訓練
  防空壕づくりに精を出す
  「戦う隣組を語る」座談会
 戦火を避けて東京から集団疎開
  都市部の空襲に備えよう
  やり切れない空腹感とさびしさ
  疎開先で戦災孤児になった子
  経済関係の犯罪が激増した
  陸軍墓地はなぜ移転しなかった
 中学生、女学生は軍需工場へ動員された
  県内に三つの陸海軍工場
  首都圏の軍需工場では……
  多賀城工廠建設のいやな話題
  歌うにふさわしい歌まで指定されて
 戦時下のレシピはこうだった
  航空燃料に使う松根掘り
  塩竈が最初に空襲を受けた

昭和二十年(1945年)
 仙台初空襲は東京大空襲の夜
  さあ、いよいよ本土決戦だ
  全県下に「国民義勇隊」発足
 仙台よい町森の町、七月十日は灰の町
  前日、高射砲・探照灯が届いた
 百二十三機が二時間にわたって
  強力電波で敵機を撃墜?
 火に包まれて悲鳴をあげる人を見た
    読者から頂戴した空襲体験
    火葬場は犠牲者でいっぱい
  艦載機の機銃掃射はこわかった
    ラジオの空襲情報をメモ
  焼け跡整理、さあ、戦災復興だ
    学校ぐるみで集団疎開
 敗戦、そして米軍進駐
    宮城県に一万人の占領軍
    婦女子はすきを見せるな
    厳重な検閲が行われた
  「戦後」はまだ終わらない

写真で見る戦時下の仙台

あとがき

戦時下の年表