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聞き書「青森の食事」

日本の食生活全集 2
森山泰太郎 他編

聞き書「青森の食事」
二つの藩の伝統を受けつぐ青森県は、二つの半島、三つの海、三つの山脈を頂く。特色ある六つの地域で海の幸・山の幸の四季おりおりのくらしと料理法をちみつに聞き書き。
●3,038円(税込)
●A5判、384頁
●86年8月
●農文協
在庫あり:1〜3営業日でお届けします
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内容

津軽と南部・青森の食事=青森県は、津軽と南部という、歴史も風土も文化もきわめて対照的な二つの地域からなるが、ともに長く中央政権の圏外にあったため、独自の文化を形づくってきた。そして、岩木山信仰や恐山信仰など民間信仰も盛んな土地柄である。津軽は米、南部は畑作、三方は海に囲まれた魚の宝庫と、食べものを生み出すすべての基盤−海、山、川、田、畑を持ち、独特の食文化圏をつくっている。


目次

■「津軽の食」=岩木山麓の米どころ、りんごの国の食

一、四季の食生活
◎冬…火ぼとを囲み、冬ごもりの津軽
 飯ずし、じゃっぱ汁、けえこで(日常の食生活)/お岩木さまを大切に年取りと正月(晴れ食、行事食)
◎春…ちんごの枝切りから農作業がはじまる
 ののしろ、身欠きにしんに生味噌かてて(日常の食生活)/春の彼岸はだんご、お釈迦さまによごみもち(晴れ食、行事食)
◎夏…田の草取りに汗を流せば、ねぷたとお盆
 地ものでうるおう夏の食事(日常の食生活)/ねぷたと盆料理で夏は去る(晴れ食、行事食)
◎秋…勇壮な岩木山へのお山参詣
 お山が近めばきのこの季節(日常の食生活)/収穫と秋もち回し(晴れ食、行事食)

二、基本食の加工と料理
◎基本食の成り立ちと料理の手法
 ごはん、もち、こねもの
◎米−一年中、白米飯で暮らす
 利用のしくみ、ごはんのいろいろな食べ方(けえこ・湯づけ・水かけ、ぞうすい、赤飯、小豆飯、色飯のいろいろ、黒豆飯、黒豆、おこわ、おはぎ、のり巻き・ちらし・いなりずし)、だんご、しとぎなど(彼岸だんご、しとぎ、お焼き、なべすりもち、糊かすもち)、もち(お供えもち、小豆もち、ごまもち、よごみもち、ふきどりもち、干しもちなど)
◎麦、そば
 麦利用のしくみ(煮込みうどん)、そば利用のしくみ(そばまんじゅう、津軽そば)
◎大豆、その他の豆類
 大豆利用のしくみ(雪納豆、豆腐粕煎り、豆こごり、寄せ豆腐のくずあんかけ)、その他の豆利用のしくみ

三、季節素材の利用法
◎野菜、山菜、きのこ
 利用のしくみ、野菜の料理(わけぎのぬた、香ばしあえ、干しなす、ささげのでんぶ、きゅうり漬・なます、なんばんの一升漬、なつ菜・かとう・なすの煮つけ、かえの汁、練りこみ など)、山菜の料理(わらびのからし酢醤油油かけ、ぜんまいの白あえ、たけのこの味噌汁、きのこの塩辛)
◎魚介類と海草
 利用のしくみ、いろいろな魚の料理(たらのこんぶじめ、じゃっぱ汁、干したらとふきの煮しめ、たらの子あえ、かすべの煮もの、にしんのこうじ漬、身欠きにしんと生味噌、ほっけのすし、塩ますの料理、いわしのすり身汁、あおばの刺身、するめ・いかの生干し、なまこの酢のもの、根こんぶ、身欠きにしんのこんぶ巻き など)
◎おやつ−手近な果物、水あめでつくる菓子

四、伝承される味覚
◎飯ずし−豊富な米を使う魚の保存食
 鮭の飯ずし、いかのすし
◎漬物−漬物小屋にぎっしり並ぶ樽
 がっくら漬、味噌漬大根、赤かぶのぬか漬、にしんのこぬか漬など

五、深浦の食
◎冬…海の水が澄んでくるとあわび漁
◎春…男たちは出稼ぎに
◎夏…お山参詣をしてかたくり粉づくり
 いもかすもち
◎秋…雪の早朝、いかを積み出す
 ほっけの魚汁、さめのすくめ、ぶりこ、豆かたまり、にんじんの糊かけ

六、津軽の食、自然、農・漁業

■「津軽半島東部の食」=「魚食えば腹すがねえ」と魚をたっぷり

一、四季の食生活
◎冬…たら漁船が運んでくる正月
 いもの塩煮、たらのじゃっぱ汁で(日常の食生活)/白い飯、もちを神々に供え、ともに味わう(晴れ食、行事食)
◎春…男はこうなご、いわし漁、女は田植え
 あざみ、こごみ、くきだちが運ぶ春の息吹き(日常の食生活)/田植えのごちそうは、子どもたちもよばれて(晴れ食、行事食)
◎夏…昼はいも掘り、夜はいわしのしめ粕づくり
 掘りたてのいも、わかおいきのこの味噌汁(日常の食生活)/虫送り、ねぶた祭りのにぎわい(晴れ食、行事食)
◎秋…もちを搗き、祭に明け暮れる
 かぼちゃの塩煮、いかのすし、たらの三平汁(日常の食生活)/もちを供えて五穀豊穣と大漁を祈る(晴れ食、行事食)

二、基本食の加工と料理
◎基本食の成り立ちと料理の手法
 いも・かぼちゃ、まま、しとねもの、もち
◎いも、かぼちゃ〈利用のしくみ〉
 いもの塩煮、かだくり湯、だしもち、いもけえ、かぼちゃの塩煮
◎米
 利用のしくみ、まま(麦飯、広東米飯、おこわ、豆飯)、しとねもの(彼岸のだんご、なべ焼きもち、こごり豆)、もち(干しもち、よもぎもち)
◎そば、あわ、きび〈利用のしくみ〉
 そばねけえ、あわもち、きびだんご ほか
◎大豆、小豆、ささぎ豆〈利用のしくみ〉
 豆汁、ねけえまめ

三、季節素材の利用法
◎魚類〈利用のしくみ〉
 いわしのすぐめ・かまぼこ、かながしらのすかかす漬、焼き干し、たらの刺身・ともあえ・じゃっぱ汁・こなます、かながしらの味噌煮・塩焼き・白焼き、いかの味噌あえ・刺身・かまぼこ、さめのでんがく・すぐめ、いかなごの醤油煮、あぶらめの塩焼き など
◎野菜、山菜〈利用のしくみ〉
 くきだちの味噌汁、なの葉汁、ささげのでんぶ、玉菜のでんぶ、しそ焼き、ごんぼのでんぶ、にんじんの白あえ、にらと魚の煮つけ、ふきのでんぶ、あざみの味噌汁、ぜんまいの白あえ、うどの酢あえ、わらびの醤油かけ、たけのこ汁、でんぶ、みずの漬けな・油炒め、きのこの塩辛、さもだしの味噌汁、けの汁など

四、伝承される味覚
◎味噌−米こうじを入れて仕込む
◎魚の漬物
 いわしの塩ぬか漬・すし、たらこの塩漬、たらの塩ぬか漬、にしん漬、やりいかのすし
◎野菜、山菜の漬物
 たくあん漬、がっくら漬、みず漬、かぶのぬか漬、こじょなかせ、ふきのぬか漬

五、今別の食
◎海草の食べ方
 のりのおつゆ、ふのりの味噌汁、ひじきの油炒め、まつぼの酢さんばい、わかよのこんぶ巻き、わかめの酢さんばい、ところてん、もずくの酢さんばい、こんぶだし、あらめの味噌汁
◎魚貝の食べ方と保存のしかた
 いしなぎの刺身、からす貝の味噌あえ、ゆであわび、まいかのすし、さめ・かつかのすし、うにの塩辛、こうなごの煮干し など

六、津軽半島東部の食、自然、農・漁業

■「下北半島の食」=雑穀といもに生かした食の知恵

一、四季の食生活
◎冬…男たちは山仕事、女たちは炭すご編み
 ひえ飯を中心に海のものを添えて(日常の食生活)/大正月は米の飯、小正月は精進料理(晴れ食、行事食)
◎春…山菜とりと畑仕事のはじまり
 北海道から届くにしんで春を味わう(日常の食生活)/彼岸だんご、節句のもち(晴れ食、行事食)
◎夏…恐山祭りまでに田仕事を終える
 朝昼晩、とれたての野菜を食べる(日常の食生活)/盆のところてんは仏さまの鏡(晴れ食、行事食)
◎秋…祭りのもち回しと冬ごもりのしたく
 果物が豊富で心もなごむ(日常の食生活)/収穫を祝い、いかのすしで夜酒盛り(晴れ食、行事食)

二、基本食の加工と料理
◎基本食の成り立ちと料理の手法
 ごはん、こねもの、もち
◎いも
 利用のしくみ、生いもの食べ方(いものごろ煮・塩煮、鉢巻、いものおづけばっと、いももち)、いもの粉の食べ方(ばおりもち、いももちのじゅねあえ など)、いものはなの食べ方(ねもち、湯のご)
◎米〈利用のしくみ〉
 豆もち、お中入りもち、ぼたもち、へちょこだんご、けいらん
◎ひえ、あわ、そば〈利用のしくみ〉
 そば切り、そば湯のご
◎大豆〈利用のしくみ〉
 八杯豆腐、きらず煎り、豆しとぎなど
◎小豆〈利用のしくみ〉

三、季節素材の利用法
◎野菜、山菜、きのこ類〈利用のしくみ〉
 煮えっこ、けの汁、きゅうりとみょうがの味噌つけ、ゆうがおの煮つけ など
◎魚貝類、海草類〈利用のしくみ〉
 たら汁、鮭の三平汁、ふのり汁、いかのさんしょうあえ、さめのぬた
◎おやつ、果物
 ひでかぶの煮もの

四、伝承される味覚
◎味噌
 玉味噌、すまし
◎漬物、乾物
 がっくら漬、にしん漬、いかの塩辛、ふきの塩漬、かんぴょう

五、下北半島の食、自然、農・漁業

■「南部〈上北〉の食」=あわ、そばを地の恵みとして

一、四季の食生活
◎冬…農仕舞いするがら、来て食てけろ
 あわ飯、干し菜汁、かすぺの煮つけ(日常の食生活)/年取りと正月三が日は白い飯に魚、もちの割り当て(晴れ食、行事食)
◎春…五月に苦労するかしきと
 あわ飯、いわしのすし漬、さんばえなのおひたし(日常の食生活)/そばだんご、へっくじゃがな、身欠きにしん(晴れ食、行事食)
◎夏…五月あがれば、こびりなし
 豊富な夏野菜でにぎわう食膳(日常の食生活)/人形ゆり、盆には串もち(晴れ食、行事食)
◎秋…いっぱい食べて腹のほいども満足
 玉菜入りくじら汁、味噌つけにぎり飯(日常の食生活)/お農神さまお帰りには米のもち、くるみ味噌、小豆あん(晴れ食、行事食)

二、基本食の加工と料理
◎基本食の成り立ちと料理の手法
◎あわ、ひえ
 かぶけえ・かぼちゃけえ、あわ飯、ひえ飯、あわもち、あわの寒もち
◎そば
 そばかき、そばけえもち、草もち、串もち、ゆもち、そばだんご、いびきりもち、てこしりだんご、だぇごそばきり など
◎米
 おごわ、大麦飯、干し菜けえ・ねかけまま、かぶけえもち、七草けえ、小豆けえ など
◎大豆、ささぎ類
 ゆ豆腐、ごりごり、ごど、豆腐粕もち
◎小麦、大麦
 むっきり、ふっつみりだんご、かぇばもち、こうせん

三、季節素材の利用法
◎野菜、山菜、きのこ
 干し菜汁、ぎんぼの料理、さんばえな・こじゃくのおひたし、そば菜のおひたし
◎川や水田、山の魚や動物
 かわがにのふっつみりだんご、きじ・野うさぎ
◎物々交換する海のもの
 たらの焼きもの、かすべの煮つけ
◎おやつ、甘酒
 柿、水あめ、甘酒

四、伝承される味覚
◎玉味噌、すまし
◎漬物
◎すし漬
◎油、酢

五、南部〈上北〉の食、自然、農・漁業

■「南部〈八戸〉の食」=半農半漁で暮らしを立てる

一、四季の食生活
◎冬…たら漁と麻糸つむぎで冬ごもり
 かぶかえ、がっくら漬、三平汁(日常の食生活)/神々の年取りの続く日々(晴れ食、行事食)
◎春…いわしの豊漁と畑仕事でてんてこ舞い
 じゃっぱ魚の刺身、三平汁、なます(日常の食生活)/白いままに豆腐汁(晴れ食、行事食)
◎夏…いか漁、わかめ、こんぶとり
 いわし脂のてんぷらで暑さをのりきる(日常の食生活)/七日日寺下観音夏の例祭(晴れ食、行事食)
◎秋…魚粕干しと漬物づくり、楽しみな「女しろ」
 浜小屋での千本突っつき、へらがにのごろ煮(日常の食生活)/漁師の年取り十月二十日(晴れ食、行事食)

二、基本食の加工と料理
◎基本食の成り立ちと料理の手法
◎ひえ〈利用のしくみ〉
◎そば、あわ〈利用のしくみ〉
 そばはっとう、かぶかえ、あわもち
◎大豆〈利用のしくみ〉
◎じゃがいも〈利用のしくみ〉
 じゃがいものごろ煮

三、季節素材の利用法
◎魚、貝〈利用のしくみ〉
 たらの三平汁、きく汁、こあえ、なめ汁、身欠きにしんの三平汁、いわしなます、いちご煮、がんぎ汁、くじな汁 など
◎海草〈利用のしくみ〉
 ひきこんぶ、こんぶ巻き、まっぽの味噌汁、のりの味噌汁、てん、あかはだもち
◎野菜、山菜〈利用のしくみ〉
 きのこなます

四、伝承される味覚
◎味噌−味つけのほとんどは味噌
 味噌のつくり方、すましのつくり方
◎漬物
 大根の水煮、がっくら漬、たくあん漬、にしん漬、梅の丸子漬、漬柿

五、南部〈八戸〉の食、自然、農・漁業

■「南部〈三戸〉の食」=五穀と根菜を命の糧として

一、四季の食生活
◎冬…白いまま、もちがなによりの楽しみ
 からだの温まるはっとう、つっつけ(日常の食生活)/たら、かれい、たこ、鮭と米の飯(晴れ食、行事食)
◎春…味噌煮と彼岸のだんごまわし
 あさどきの酢味噌、にしんの塩焼き(日常の食生活)/盛りだくさんな田植えの休みっこ(晴れ食、行事食)
◎夏…半月続くお盆の行事
 きゅうり、なす、ささぎがたっぷり(日常の食生活)/仏さま中心のお盆の料理(晴れ食、行事食)
◎秋…きのこ、阿房宮は秋の味覚、九日もちでほいどを抜かす
 ひえ飯からあわ飯にかわる(日常の食生活)/ほいどの抜ける九日もち(晴れ食、行事食)

二、基本食の加工と料理
◎基本食の成り立ちと料理の手法
◎米
◎あわ、ひえ
◎小麦〈利用のしくみ〉
 麦はっとう、つっつけ、串もち、ひっつみ、小豆ばっとう、おしまぐり、麦だんご、きんかもち、酒まんじゅう、てんぼせんべい、せんべいかやぎ、生ふ
◎大豆〈利用のしくみ〉
 豆腐、豆しとぎ、ねぼこ、ごど

三、季節素材の利用法
◎野菜、山菜〈利用のしくみ〉
 菊なます、煮しめ、てんぷら

四、南部〈三戸〉の食、自然、農・漁業

■人の一生と食べもの

一、救荒食
二、薬効のある食べもの
三、お産と食べもの
四、冠婚葬祭と食事

■青森の食とその背景

一、日本の中の青森−青森の食の特徴
二、南部地方の食生活
三、漁村の食生活
四、津軽の食生活
五、青森県の地域区分
◎津軽の食、自然、農・漁業
 小山内家の暮らしと農業、岩木山信仰と津軽の風土、津軽の米つくりとりんごつくり、山・川・海とのかかわり
◎津軽半島東部の食、自然、農・漁業
 生活を支える漁業、海岸段丘を利用した畑にはいも・かぼちゃ・雑穀を、田づくりになくてはならない馬の助け、山菜は保存食糧
◎下北半島の食、自然、農・漁業
 寒冷な気候での農作業、家畜とのかかわり、山や川とのかかわり、海とのかかわり
◎南部〈上北〉の食、自然、農・漁業
 畑作中心の農業、おもな農産物、野佐掛の農業と食べもの
◎南部〈八戸〉の食、自然、農・漁業
 大平洋沿岸地帯の地形と気候、沿岸漁業のあらまし、暮らし
◎南部〈三戸〉の食、自然、農・漁業
 三戸の歴史と自然、りんご・販売野菜もとりいれて、子とり用の肉牛と役用の馬、山や川から得る生活の資源

■青森の食−資料

◎津軽の基本食とその食べ方−漬物
◎津軽半島東部の魚貝などの漁期と加工・調理
◎下北半島の基本食とその食べ方−季節素材の利用
◎南部〈上北〉の基本食とその食べ方−漬物
◎南部〈八戸〉の基本食とその食べ方−魚と海草の利用のしかた、食生活暦

■索引
■付録
■調査・取材協力者一覧