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聞き書「山形の食事」 日本の食生活全集 6
木村正太郎 他編 |
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山形の「母なる川」最上川が結ぶ置賜盆地、村山の平野と山間、県北の最上、庄内平野。暮らしの柱にある米と結びついた山と海の幸のすべてを紹介。加えて、羽黒山修験道の食、酒田海船問屋の食を再現。 |
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●3,038円(税込) ●A5判、384頁 ●88年10月 ●農文協 |
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在庫あり:1〜3営業日でお届けします |
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山形県の食の特徴は、米が暮らしの柱であること。そして川のもの、奥羽山系西斜面につくられる果物や畑作物、山のものなど食素材が多彩である。身近な採取物は飢飢饉への備えやふだんの食べものになるばかりでなく、晴れの日の食にもなる。「母なる川」最上川と、連なる山脈のもとにはぐくまれた内陸盆地の食、海を持ち、関西の食べものにも通ずる庄内の食は、東北地方に独自の食文化を開花させた。
■「村山盆地の食」=でんがくと刈上げもちにみる盆地の味わい
一、四季の食生活
◎冬…わら仕事をしながら、来年の夢を語り合う
かいもち、味噌汁だんごで米を食いのばす(日常の食生活)/単調な暮らしにめりはりをつける冬の行事(晴れ食、行事食)
◎春…家族総出で田植えに精出す
麦飯と緑の野菜に活力がわく(日常の食生活)/もちを搗いて大田植えぶるまい(晴れ食、行事食)
◎夏…夏負けと戦いながら田の草取り
土用どんじょにいるか汁(日常の食生活)/夏しか味わえないぬたもち、ぬたあえ(晴れ食、行事食)
◎秋…収穫の喜びと冬じたく
家々自慢のなご炒り、漬物、いも子汁(日常の食生活)/刈上げもちは一年中で一番うまいもち(晴れ食、行事食)
二、基本食の加工と料理
◎基本食の成り立ちと料理の手法
ごはん、粉もの、もち
◎米
利用のしくみ、米の食べ方いろいろ(大根飯、笹巻きなど)
◎大麦、小麦
こうせん、ひっぱりうどん
◎そば
そばきり、そばはっと、かいもち
◎あわ、きみ、もろこし
あわもち、きみもち、もろこしだんご
◎大豆
納豆、品川汁
三、季節素材の利用法
◎野菜、山菜
利用のしくみ、あえもののいろいろ(ひょうのからしあえ、たたきごんぼのくるみあえなど)、なすの料理(だし、なす干しの煮ものなど)、大根の料理(煮びたし、大根なます)、菊の食べ方(菊のおひたし)
◎魚、肉、卵など
海の魚(ざんぱん汁など)、川や田の魚貝となご(なご炒りなど)、肉・卵(いも子汁)
◎果物、木の実、種実など
干しあけびのあえもの
四、伝承される味覚
◎味噌
◎あまびしょ
◎漬物
長おみ漬、なす漬、菊の味噌漬など
六、村山盆地の食、自然、農業
■「村山山間の食」=ひょう干し、菜漬煮は山間の味
一、四季の食生活
◎冬…一家みんなでわら仕事に精を出す
大根やかぼちゃのかて飯に、おみ漬納豆(日常の食生活)/大正月はもちと白い飯、小正月はだんご(晴れ食、行事食)
◎春…一度にやってくる田植えと春蚕
麦ままに油味噌、凍み大根とにしんの煮もの(日常の食生活)/桃の節句の草もち、端午の節句の笹巻き(晴れ食、行事食)
◎夏…汗にまみれる田の草取り
麦ままと、なす、きゅうり(日常の食生活)/お盆はもちを搗いて供え、乾物料理で(晴れ食、行事食)
◎秋…秋もち、刈切りもち、刈上げもちと、もちの多い秋
あまぴちょ、菊のおひたし、けんちん汁(日常の食生活)/刈上げもちはほえども搗く(晴れ食、行事食)
二、基本食の加工と料理
◎基本食の成り立ちと料理の手法
ごはん、もち、粉もの
◎米
利用のしくみ、ごはんのいろいろな食べ方(ごんもくまま、栗まま、うむし、笹巻きなど)、だんごなど(彼岸だんご、はっと)、もち(わたいれもち、かきもちなど)
◎そば
かいもち
◎大豆、その他の豆など
大豆利用のしくみ、大豆のいろいろな食べ方(すながわ汁など)、ささぎ豆・小豆の食べ方(小豆かぼちゃなど)
三、季節素材の利用法
◎野菜、山菜
利用のしくみ、野菜の料理(切りあえ、菜漬煮など)、山菜の料理(うるいの香ばし油あえなど)
◎魚と海草〈利用のしくみ〉
さばなまりのあんかけ、えごなど
◎いなご
なんご炒り
◎果物
干し柿、湯ざわし
四、伝承される味覚
◎味噌
◎あまぴちょ
◎漬物
菜漬、おみ漬、梅干し、切り梅
六、村山山間の食、自然、農業
■「県北最上の食」=うさぎがとれれば、どぶろくで酒盛り
一、四季の食生活
◎冬…いろりでもちをあぶりながらわら仕事
大なべにどっしりと煮こんだ温かい納豆汁(日常の食生活)/赤いお膳で年取り、七草には新米炊いておみ玉づくり(晴れ食、行事食)
◎春…女どもはくじらもちの粉はたき、味噌煮
とりたての山菜の香りを味わう(日常の食生活)/おひなさまにはくじらもち、「こいのぼり」には笹巻き(晴れ食、行事食)
◎夏…つらい草取りがすむと、盆と祭り
どんじょ、うなぎで乗り切る(日常の食生活)/お盆を中心に夏祭り(晴れ食、行事食)
◎秋…最上川支流で鮭の産卵がはじまる季節
秋の味覚を飯や汁に入れて(日常の食生活)/もちを搗くことが多い秋(晴れ食、行事食)
二、基本食の加工と料理
◎基本食の成り立ちと料理の手法
ごはん、もち、粉もの
◎米
利用のしくみ、ごはんのいろいろ(大根飯、笹巻きなど)、もちのいろいろ(ごんぼぱもちなど)、粉もののもち(くじらもち、しんこもち)
◎大豆、小豆〈利用のしくみ〉
豆こづき、豆の保存漬
◎そば、二度いも、かぼちゃ
かいもち、二度いももち
三、季節素材の利用法
◎野菜〈利用のしくみ〉
凍み大根の煮もの
◎山菜、きのこ〈利用のしくみ〉
ばつけ味噌、じゅうでんこのくるみあえなど
◎川魚、かに
川魚のとり方と保存法、川魚の食べ方(かじかの焼き魚、ざっこのさんしょ味噌、かにたたき汁など)
◎海の魚
くじら汁
◎山うさぎ
どんぎり煮、たんぼ焼き
◎おやつ、果物、飲みもの
栗蒸し羊かん、打ち菓子、水あめなど
四、伝承される味覚
◎味噌
◎漬物
大根のごっくら漬、最上かぶの一本漬など
◎あゆずし
五、県北最上の食、自然、農・林業
■「県南置賜の食」=鷹山公の教えを今に伝える水田地帯
一、四季の食生活
◎冬…雪囲いやおみ漬づくりで冬を迎える
寒い夜はけんちん汁や酒粕汁(日常の食生活)/年始客のもてなしは、こいのうま煮や冷や汁で(晴れ食、行事食)
◎春…田植えでにぎわう春を「蚕もち」でしめくくる
きつい田うないは力の出るにしんを食べて(日常の食生活)/草もち、雑煮もち、納豆もち(晴れ食、行事食)
◎夏…繭送りを終えてお盆の準備
くじら汁で夏負けを防ぐ(日常の食生活)/お盆に欠かせないじんだんもちとてん(晴れ食、行事食)
◎秋…稲刈りの無事を「刈上げもち」で祝う
ごはんがうまい、秋なす、いもごはしゅんの味(日常の食生活)/十三夜のいもご煮で、収穫のあわただしさも小休止(晴れ食、行事食)
二、基本食の加工と料理
◎基本食の成り立ちと料理の手法
ごはん、もち、粉もの
◎米
利用のしくみ、ごはん(うこぎごはん、くるみごはんなど)、もちの食べ方(じんだんもちなど)、粉ものの食べ方(味噌揚げ)
◎大豆、小豆
納豆
三、季節素材の利用法
◎野菜
うこぎの切りあえ、冷や汁、ささぎのじんだんあえ、だし、いもご煮
◎海産物、川魚
ぼうだら煮、からがえ煮、氷頭なますなど
◎果物、木の実
干し柿
四、伝承される味覚
◎味噌
◎甘酒、三五八
甘酒、三五八
◎漬物
たくあん漬、たかな漬、納豆漬、梅干し
五、県南置賜の食、自然、農業
■「庄内平野の食」=米よし、酒よし、魚よし、米どころの食
一、四季の食生活
◎冬…わら仕事、針仕事でほっと一息つける季節
なべにつるが冷たく手につく朝の食事づくり(日常の食生活)/女の休み、元旦と七草(晴れ食、行事食)
◎春…鳥海山の種播きじさまを目安に苗代づくり
春一番のこあめ料理と野草の緑が新鮮(日常の食生活)/雇い人へのふるまいに気をつかう田植え、さなぶり(晴れ食、行事食)
◎夏…水枯れで、労多い水くみが加わる
紫紺の漬けなすに食欲のわく(日常の食生活)/そうめんと夏野菜のてんぷらが待ち遠しい(晴れ食、行事食)
◎秋…稲刈りの合い間に野菜の収穫
秋の夜長に保存食づくり(日常の食生活)/とれたてのもち米でもちを搗き、豊作を感謝する田の神上げ(晴れ食、行事食)
二、基本食の加工と料理
◎基本食の成り立ちと料理の手法
ごはん、しとねもの、もち
◎米
黒豆ごはん、でんちょ、たけのこ巻きなど
◎大麦、小麦
うどんのあんかけ
◎そば
そば飯
◎大豆
◎いも、かぼちゃ
かぼちゃのいとこ煮
三、季節素材の利用法
◎野菜、山菜
利用のしくみ、野菜の料理(なすごんげんなど)、山菜の料理(ばんけ味噌、みずたたきなど)
◎海と川の魚貝類
利用のしくみ、海の魚貝類の食べ方(こあめのすり身など)、川の魚貝類の食べ方(がにたたき汁など)
◎鶏肉、卵
◎果物、おやつ
湯ざわし柿、かよ
四、伝承される味覚
◎味噌
◎醤油
◎醤油の実
◎酒
どぶろく
◎漬物
なすのこうじ漬、玉菜のにしん漬など
五、庄内平野の食、自然、農業
■「飛鳥の食」=豊富な海産物を米に換える
◎飛鳥の風土と食
大型船の出入りする漁港の島/ふだんは南京米中心、晴れの日はもちと酒
◎飛鳥の風土が生んだ食べもの
魚貝類、海草の料理(いかのくるみあえ、あらめのぼん巻きなど)/野草の料理(かんぞうの花漬、さしの若芽漬)
■「庄内山間の食」=月山山麓の山の恵み、川の恵み
一、四季の食生活
◎冬…吹雪の合い間に山仕事
大根飯と粃もちで米を食いのばす(日常の食生活)/歳夜には白いままと赤いとと(晴れ食、行事食)
◎春…すどが崩れると農作業のはじまり
山の青ものが食卓をにぎわす(日常の食生活)/田植えには欠かせない、たけのこ汁と小豆煮(晴れ食、行事食)
◎夏…忙しいときでも楽しみな魚とり
豊富な川魚で力をつける(日常の食生活)/七日びはゆり飯、盆には山ほどのてんぷら(晴れ食、行事食)
◎秋…きのこ、木の実と豊かな山の幸
何杯もおかわりするもたしのおろし汁(日常の食生活)/どぶろくに酔う助人振舞い(晴れ食、行事食)
二、基本食の加工と料理
◎基本食の成り立ちと料理の手法
ごはん、もち、粉のもの
◎米
利用のしくみ、ごはん(豆飯、べんけい飯・菜巻き飯)、もち(粃もち、松皮もち、葉もちなど)、粉もの(なた巻き、きんちゃく巻きなど)
◎豆、いも類
利用のしくみ、大豆と小豆の食べ方(豆腐、くき煮など)
三、季節素材の利用法
◎山菜、野草、きのこ
利用のしくみ、山のものの食べ方(たけのこ汁など)
◎野菜〈利用のしくみ〉
◎果物
さわし柿、串柿、山ぶどう酒
◎川魚、海産物
川魚のどんがら汁、からげ煮
四、伝承される味覚
◎味噌
たれ、あぶり味噌
◎納豆
◎漬物
菜漬・どぶ漬、赤かぶ漬
◎どぶろく
酒塩煮
◎すし
五、庄内山間の食、自然、農・林業
■山形の歴史風土と食事
一、羽黒山修験者の食
羽黒修験とは/修験者の修行/修験者の修行中の食事/門前町の宿坊の食事/街道筋の行者宿の食事/斎館の精進料理/大笈酒
二、上杉藩郷士集落の食
周到な自給の構えと食の営み/春を告げるうこぎの芽(おふたし、切りあえ、うこぎ飯)/名物「窪田なす」のさまざまな食べ方(酒味噌かけ、じゃり漬、ぶっつけなど)/無事と繁栄を願う、お年取りのごちそう(塩鮭の切身、いるか汁、粕汁など)
三、酒田の海船問屋の食
酒田の港/船場町の海船問屋/日常の食事/行事食と接待食/文献に見られる食事
■人の一生と食べもの
一、暮らしの知恵と伝統が生きる救荒食
二、薬効のある食べもの、病人食
三、妊産婦の食べもの、離乳食
四、人生の節目と食べもの
■山形の食とその背景
一、日本の中の山形−山形の食の特徴
二、山形の地域区分とその指標
三、食を支える自然と農業
四、食を支える自然と農・漁業
◎村山盆地の食、自然、農業
◎村山山間の食、自然、農業
◎県北最上の食、自然、農・林業
◎県南置賜の食、自然、農業
◎庄内平野の食、自然、農業
◎庄内山間の食、自然、農・林業
■山形の食−資料
◎村山盆地の基本食とその食べ方
◎県北最上の野菜、山菜、きのこ、川魚、山の動物の利用
◎の魚貝・海草類の漁獲期と加工・利用、年間の食生活暦
◎県南置賜の年間の食生活暦
◎庄内平野での基本食とその食べ方、年間の食生活暦
◎庄内山間の基本食とその食べ方
■索引
■付録
■調査・取材協力者一覧
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