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時よ語れ 東北の20世紀


河北新報社編集局 編

時よ語れ 東北の20世紀
東北と生き抜いた庶民の100年史。1999年7月から1年間、取材記者が「歴史の目撃者」として東北各地の現場を歩き、一人ひとりの記憶といまの風景を織り交ぜながら、90点のカラー写真とともに20世紀の東北を追体験したルポルタージュである。
●定価 2,420円(本体2,200円+税)
●B5判変形・ソフトカバー/238頁
●カラー写真90点
発行所/河北新報社出版部
在庫あり:1〜3営業日でお届けします
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内容

東北の二十世紀史をひも解けば、八甲田山雪中行軍の大量遭難事件(一九〇二年)に始まり、昭和恐慌と大凶作、娘身売り、満蒙開拓団、敗戦、集団就職、減反と出稼ぎ、過疎と開発、そして東北初の百万都市仙台の誕生(九九年)まで、さまざまな光と影のドラマが連なる。
わたしたちは、この百年の流れを回顧したり、“偉人伝”をなぞろうとは思わなかった。世紀が移り変わる「いま」の視点で、さまざまな時代の記憶を刻む東北各地の現場を歩き、そこに生きる人々と風景が語るものを掘り起こし、わたしたちと読者の一人ひとりにつながる庶民の二十世紀史を再発見、追体験する。それが、「時よ語れ」の試みだった。(あとがきより)

目次

憶―プロローグ    ※( )内は取材地
(1)旅立ち/三万六千余の朝 ほんの少しずつの 忘れ物
(2)下北の会津人/荒野に根を下ろし 受け継がれる 誇りの遺伝子(むつ市、会津若松市)
(3)生還者/雪に凍え泥に膿み 故国はありや 一兵卒たち(青森市)
(4)北の稲/冷害に耐え 風の道に生まれた 不屈の苗(余目町)
(5)鉄の街/引込み線を 溶鉱炉の赤い熱が 駆け抜けた(釜石市)
戦―戦いの記憶
(6)りんごの花/解かれた時の封印 二・二六に散った 兄の真実(弘前市)
(7)北のパラオ/陽光注ぐ死地逃れ 原野で手にした 約束の果実(蔵王町)
(8)長崎の天使/あの日壊れた空へ 老学者の旅は 導かれた(仙台市)
(9)馬の出征/泥と銃弾にまみれ 異国の山野に 消えたいななき(軽米町、江刺市)
(10)日連丸/厳寒の夜の海 「機密」抱えて沈んだ 二千人余の魂
(11)償いの旅/消えぬ心の満州 人生をかけ 残留者の傷いやす(一関市)
(12)光あれ/人殺しは罪 良心の祈りと抵抗 庶民忘れず(黒石市、山都町)
(13)爆音/終わらぬ「現実」に 問い続ける 命かけた願い(三沢市、弘前市)
味―味の記憶
(14)水車市/雑穀復活 つきたての甘みは 山里の豊かさ(久慈市)
(15)ちゃんこ/柏戸への思い秘め 夢敗れ手にした 人生の隠し味(鶴岡市、櫛引町)
(16)そばの里/身を粉に命つなぎ 人の心打った 嫁様たちの行商(山都町)
(17)三日とろろ/走り続けて 最後に振り返った ふるさと(須賀川市)
(18)鯨/禁じられた食と職 給食がつなぐ 捕鯨の町の夢(牡鹿町)
(19)冷麺/失われた自我の核 息吹の地で 血を越えた(盛岡市)
村―村の記憶
(20)賢治の弟子/生涯一小作人 イーハトーボの 見果てぬ夢に死す(花巻市)
(21)田の語り部/連綿たる 渇きから生れた 黄金色の風景(山田町)
(22)わかれっぱ/壱千参百円 望郷の念売り払い 苦界に沈む(仙台市)
(23)東京/「金の卵」の孤独 分かち合い 今では太い根っこ
(24)豊かさよ<上>/広大な水田を前に 輝く未来を 青年は信じた(大潟村、東由利町)
(25)豊かさよ<下>/離村者が残した 累々たる山村の屍 償いの旅 今も(大潟村、琴丘町、上小阿仁町、東由利町)
(26)踊る人/過酷さと向き合い 全身全霊で 生き方を問う(大蔵村)
(27)ホタル/人々の心に よみがえった光 変わる出稼ぎの里(尾花沢市)
物―物の記憶
(28)最後の窯/無機質の波が襲う 生を照らした炎は 天に昇った(仙台市)
(29)ヨシ刈り/冬枯れの岸辺 風がささやく「かやぶきは文化」(北上町)
(30)癒しの湯/苦しみの果て 大地にもらった 「生」への望みと力(田沢湖町)
(31)白球への恋/伝説の決勝戦へ 球児たちを育てた 北国の冬(三沢市)
(32)壁と生きる/老漁師は忘れない 村を奪った 大津波の記憶(田老町)
(33)雪と生命/無医の村 宿命の冬 悲劇を解かした 二人の情熱(沢内村)
(34)ひなの家/地主衆の絢爛文化 戦後を乗り越え 守り伝える(河北町)
心―心の記憶
(35)師の音色/地吹雪、ねぷた… 心癒し勇気くれた 古里が聞こえる(平内町)
(36)四季の学校/ムラを支えた校舎 今も生きる 恩師の熱き思い(金山町)
(37)民話の力/人の生き方を伝え 決して色あせぬ 祖母の言葉(宮守村)
(38)母を捨てよ/憎いけれど恋しい 虚構に横たわる 男の原風景(恐山、三沢市)
(39)オカミサン/海に生きる町 暮らし支え続けて 平成の巫女(唐桑町)
(40)智恵子帰郷/近代に傷ついた 「新しい女」 自然の懐で永遠に(十和田湖町、花巻市、安達町)
(41)魯迅の街/国と時代を超え 懸け橋残した 無数の「藤野先生」(仙台市)
(42)女たちの朝/家と嫁 古き闇を切り開く あかね色の夢(仙台市)
(43)敗者と勝者/戊辰戦争の 痛み語り合って 未来へ築く懸け橋(会津若松市)
望―風景の記憶
(44)新遠野物語/ぬくもりの破片を 拾い集めた空間 精霊が笑った(遠野市、宮守村)
(45)中瀬の灯/港と生きた映画館 若者の夢が呼ぶ 再生の胎動(石巻市)
(46)康楽館/廃鉱の町に 拍手とにぎわい 「芝居の殿堂」再び(小坂町)
(47)永久不伐の森/山人に抱かれ 受け継がれてゆく 縄文の息吹(小国町)
(48)本とカタクリ/山村に蔵書を 都会人に自然を 森と人の心に春を(只見町)
(49)ハタハタの海/突然消えかけた 「無尽蔵」の魚 生の意味を教える(小森町、能代市、男鹿半島)
(50)開拓者の娘/豪雪と核燃の村に 花であふれる 古里が見えた(六ケ所村)
(51)開発知事の遺産/巨大遺跡救った 最後の仕事 「工事中止」の決断(青森市)
(52)ケヤキは呼ぶ/冬には“光”を装い 100万都市潤す 現代の縄文の森(仙台市)
(53)帰郷の世紀へ/深き記憶の山並み 振り返る時 明日は広がる
誇―思索し続けた賢者の勇気
(54)座談会/赤坂憲雄(東北芸術工科大東北文化研究センター所長)、佐藤 守(岩手県藤沢町長)、杉山陸子(企画集団ぷりずむ代表)、朝間義隆(映画監督・脚本家)、一力雅彦(河北新報社常務取締役編集局長)